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ランボー詩抜粋 谷間に眠る男


        谷間に眠る男

そこは緑の穴ぼこ、川が歌い
銀のぼろ切れを草たちに狂おしく絡ませている。
そこは太陽が、崇高な山から輝い
ている小さな谷間、光の筋たちが泡立っている。
   
ひとりの若い兵士は、口をあけ、帽子をかぶらず、
うなじを青く生き生きとしたクレッソンにうずめて、
眠っている。彼は草の上に寝かされている、
雲の下で、光が降り注ぐ緑のベッドの上で青ざめて。
   
両足をグラジオラスに囲まれて、彼は
眠る。病気の子どもが微笑むように微笑みながら、
彼はひと眠り。自然よ、彼をあたたかく揺すれ、彼は寒い。
   
香りが彼の鼻孔を膨らますことは
ない。彼は太陽の下で眠る。片手を静かな胸にのせながら。
彼にはふたつの赤い穴がある、右の脇腹に。






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