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詩集 マラルメ 挨拶 Poésies  Mallarmé  Salut


       挨拶
   
何もない、この泡立ち、処女の詩句
ただ脚付きグラスを指し示すことしか。
これほど遠く群れをなすセイレンたちが
溺れている、さかさまにたくさん。

われわれは航行中だ、オー私の色々な
友人達、私はすでに船尾にいる、
きみらは豪奢なその船首にいて、
雷と冬の海を切り開く。

美しい陶酔は私を誘い
船の縦揺れさえ恐れずに
立ってこの挨拶を捧げる、

孤独、暗礁、星
われわれの帆の白い悩みに
値する総てのものに。


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つきまとう不運 Le Guignon


        つきまとう不運

人間である仰天した家畜らの上を
光のなかで飛び跳ねていたのは、野生の豊かな髪、
青空を乞う者たちのものであり、足はわれらの道のなかにある。

黒い風は、彼らの歩みに向かい、旗として使われ、
そんな寒気で肉のなかまで、その歩みを鞭打っていた、
そこに炎症する轍も掘っていた。

いつもその海と出会う希望を持って、
パンなし、杖なし、壺なしで、彼らは旅していた、
苦い理想でできた黄金のレモンに食いつきながら。

その多くは、あえいだ、夜々の縦列行進のなかで、
自分らの血が流れるのを見いだす幸福に酔いながら、
オー「死」、唯一のキスだ、無口な彼らの口々への!

彼らの敗北、それはひとりの天使によるものだ、
非常に力があり、地平に直立し、抜身の剣を持っている。
緋色染料は凝固する、感謝する胸において。

彼らは苦痛を吸っている、夢の乳を吸っていたように、
そして彼らが官能の涙をしだいにリズムに合わせていくと
民衆はひざまずき、彼らの母は立ち上がる。

その人らは慰められ、自信に満ち、威厳がある。
だが彼らの歩みに引き連れているのは、人が愚弄する百人の兄弟、
曲がった偶然による笑うべき殉教者ら。

涙と同様な塩は、彼らの柔らかな頬を蝕む、
彼らは同じ愛をもって灰を食べる、
だが下品か滑稽か、運命は彼らを車裂きにする。

彼らは太鼓のようにかき立てることもできた、
声の色あせた民衆の卑屈な同情を、
彼らはプロメテウスと同等だ、鷲は欠けるが!

いや、下劣でよく行くのは雨水溜めのない砂漠だが、
彼らは短気な君主、「不運」の鞭の下で奔走している、
かつてないその笑いは彼らを平伏させる。

恋人ら、彼が飛び乗り馬の尻に3人、分割者だ!
それから急流を飛び越え、君らを沼に投げ込み、
そしてひとつの泥の塊を残す、白い泳ぐ男女だ。

彼のせいで、もし彼氏が奇妙な自分のラッパに息を吹くなら、
子供らは執拗な笑いのなかで我らを引きつらせるだろう、
尻に拳の子供らが彼のファンファーレの真似をして。

彼のせいで、もし彼女が衰えた胸を一輪のバラで程よく飾り
そこを年頃のように再燃させるなら、
呪われた花束の上に、よだれが光るだろう。

そしてこの骸骨は、小人で、羽のついたフェルト帽をかぶり、
ブーツをはき、そのわきの下には本物の毛の代わりに蛆を生やして
いるが、彼らのとっては無限に広がる苦悩である。

いじめられても、彼らはその邪悪な者を挑戦しにいかない、
彼らのきしんでいる決闘用長剣は月の光線に続く、
それは骨格のなかを雪のように降り、横切り通る。

不運を聖化する自負心がなく、悲嘆にくれて、
そしてくちばしでつつかれた骨の仕返しに、陰鬱にして、
彼らは憎悪を渇望する、恨みの代わりに。

彼らは気晴らしだ、三弦楽器の下手な弾き手らの、
子供らの、娼婦らの、そして老けた奴らの、
酒が乾くとぼろを着た奴らは踊っているが。

詩人ら、施し物や復讐に適する者らは、
抹殺されたこれらの神々の不都合を知らないで、
彼らのことを退屈で知性がないと言う。

「彼らはそれぞれの手柄を十分に立てて逃げることができる、
鎧を着てギャロップで駆け出すよりも
嵐によって無垢の馬が泡を吹くようにして。

われらが香を焚いて陶酔させるのは、祭りのなかの勝利者。
だが彼ら、道化師らは着ようとしないのか、
人が立ち止まるほどの、うなる緋色のボロ着を!」

面と向かって、皆が彼らに軽蔑の唾を吐いたとき、
無価値らで、低い声で雷を祈っているひげ、
これらの英雄らは、愚かな不快でうんざりさせられ

滑稽にも街灯に首つりに行く。
  


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出現 Apparition


         出現

月は悲しんでいた。熾天使たちは涙して、
楽弓を指に、おぼろげな花々の静寂のなかで夢見て、
もの憂げなヴィオルから花冠が群れる蒼穹に滑りこむ
清らかなすすり泣きを引き出していた。
━━その日だった、きみの初めてのくちづけは祝福された。
私の夢想は私を好んで苦しめ、
後悔がなく苦い後味がなくても、夢の収穫が
夢を摘み取った心に残している悲しみの
香りに訳知りで酔っていた。
それで私は彷徨っていた、古い舗石に目をしっかり向け。
その時、髪に日の光を受け、通りで
夕方に、きみは笑いながら現れた。
私は輝く帽子の妖精を見たと思った。
遠い昔、それは甘やかされた子供だった私の美しい
眠りの上を通り過ぎていた。軽く握った両手から
香る星々の白い花束をいつも雪と降らせて。



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たわいない小詩 Placet futile


        たわいない小詩

公爵夫人!あなたの唇のキスで、このカップに現れる
ヘベのような女の幸運をうらやんで、
私は恋の炎を使う、だが私は地味な順位の神父でしかない
それで同じ裸でもセーヴル焼きには描かれないだろう。

私はひげの生えたあなたの子犬ではないし、
キャンディーでも口紅でも、甘い遊戯でもない、
そして私に襲いかかる閉じたあなたの眼差しを私は知っているのだ、
金髪の人、神々しいその髪結いたちは金銀細工師たちだが!

私を名づけてください . . . あなた、木苺の香りの多くの笑いが
なついた子羊らの群れのなかで合わさっている、
それらすべてで願いを食べている、熱狂して鳴いている。

私を名づけてください . . . 愛の神は扇の翼をもち
そこに私を描くから、この羊小屋を眠らせる笛を指にしているが、
公爵夫人、私を名づけてください、あなたの微笑みに合う羊飼いと。



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罰せられた道化者 Le Pitre châtié


         罰せられた道化者

目、湖、生まれ変わるのは道化役者でなく別の物にと
私は単純に陶酔して、その役者はケンケ灯の汚い煤を
羽根として身振りで思わせるが、
私は幕の壁にひとつの窓をあけた。

純真な泳ぎ手で裏切り者、私の足と両手で
増やされた跳躍をするが、否認するのは悪いハムレット!
水中で千の墓を私は新しくしていたかのようだ、
そこに純潔の姿を消すために。

拳がもつシンバルの陽気でいらだつ金色、
突然、太陽はこの裸体を打つと
私の真珠色の純粋なそれは蒸発した。

皮膚がすえたにおいの夜、私の上をあなたが通り過ぎたとき
知らなかった、忘恩者! 完全な私の聖別式だったのは
氷河の不実の水のなかにある紅と白粉だけとは。



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