ヴァレリー 旧詩帖 糸を紡ぐ女 ALBUM DE VERS ANCIENS LA FILEUSE
旧詩帖
糸を紡ぐ女
ユリたち . . . 紡ぐこともしない。
座っている、糸を紡ぐ女、ガラス窓の青のところで、
そこではメロディアスな庭が軽く揺れているが、
古い糸車はうなり、彼女を酔わせた。
うんざりだ、青空を浴びて、甘い髪を紡ぐのに、
彼女のか弱い指々のため髪が逃げ出すし、
彼女は夢想している、そして彼女の小さな頭は傾く。
低木と澄んだ空気は生き生きした泉を作る、
それは、日差しのなかに掛かり、花々を失うことで
働かない女のうっとりさせる庭を潤している。
ある幹は、そこで放浪の風が休んでいるが、
傾けてむなしい挨拶、星のような恩恵のだが、
古びた糸車に、すばらしいそのバラを捧げて。
だが眠る女はひとりで羊毛を紡いでいる。
不思議なことに弱々しいその影は自ら編んでいる、
それらの長い眠る指々で、紡がれて。
その夢は巻き取られる、天使のような
怠惰とともに、そして絶えず、愚直で優しいスピンドルで、
その髪は波うっている、愛撫のままに . . .
たくさんの花々の後ろに、青空は隠れている、
糸を紡ぐ女、葉叢のなかの、そして取り囲まれた光のなかの。
緑のすべての空は死にかけている。その最後の木は燃えている。
君の妹は、大きなバラ、そこで聖女は微笑んでいるが、
無垢の吐息の風のなかで、あいまいな君の額を香りで包んでいる、
そして君は衰弱していると信じている . . . 君は絶え絶えだ
ガラス窓の青のところで、 そこで君は羊毛を紡いでいた。