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エロディアード Hérodiade

           エロディアード
              舞台
          乳母―エロディアード
               乳(母) 
あなたは生きておられる!それともここに見るのは王女の影か?
私の唇に、あなたの指々とそれらの指輪を、そしておやめなされ
知られていない時代を歩まれるのは . . .
              エ(ロディアード)
                   お下がり。
ブロンドの奔流、けがれない私の髪、
それが孤独な私の体を流れるとき、体を恐怖で
凍えさせる、そして私の髪は光が絡みあい
不滅なのです。オー女、キスは私を殺しもしよう、
もし美が死でないのならば . . .
               どんな魅惑によって
導かれ、どんな朝が、預言者に忘れられているが、
注ぐのか、切なげな遠方に向かって、その悲しい祝祭を、
それを知っているのか、私は?そなたは見た、オー冬の乳母、
私が石と鉄でできた重々しい牢獄のなかに入るのを、
そこは私の古い獅子たちが野獣の何世紀かを引きずっているが。
そして私は歩んでいた、運命により、無傷の手で、
あれら古くからの王たちに見捨てられた雰囲気のなかで。
とは言うが、そなたは見たか、私の恐怖がどんなものであったかを?
私は流刑を夢見て立ちどまる、そして私がむしっているのは、
水の噴射が私を迎える池の近くにあるような、
私のなかにある青白いユリの花びら、
やつれた小片が、私の夢想を横切って静かに
落ちるのを視線で追うのに夢中であるが、
獅子たちは、私のドレスの無感動を開き
海を鎮めるという私の両足を見ている。
鎮めよ、そなた、老いた肉体の震えを、
おいで、そして私の髪は荒々しすぎる仕方をまねる、
そなた方を怖がらせるたてがみ、
手を貸して、そなたがもう私とあえて会わない以上、
鏡のなかで物憂げに私が髪をとかすことに。
               乳
密封した瓶の楽しい没薬でなくとも、
老年のバラから奪った精油の
陰気な効力を、わが子、
望まれますか?
              エ
       
       そこに放っておき、それらの香水は!私はそれらが
嫌いなことをそなたは知らないのか、乳母、しかもそれらの陶酔が
私の衰弱した頭を溺れさすのを感じよとでもそなたは望むのか?
私が望むのは、私の髪が、それは苦痛の人々の
忘却を引き起こす花ではなく、
ゴールドであるが、芳香について永久に無垢で、
つれないきらめきとくすんだ青白さのなかで、
金属の不毛な冷たさを保持すること。
私の髪が孤独な少女時代から、生まれたところの壁の宝飾品、
武器、壺を反射してきたから。
              乳
お許しを! 老齢が消し去っていました、女王、私のあせた心から
あなたの禁止を、まるで古い書物のように、あるいは黒い . . .
              エ
もうたくさん! お持ち、この鏡を私の前に。
                    オー鏡!
冷たい水、君のフレームのなかで倦怠により凍りついている
何回もそして何時間にもわたって、
夢々に悩まされ、私の思い出の数々を見いだしながら、それらは
深い穴にある君の氷の下の葉々のようだが、
私は君のなかに遥かな幻影として私に現れたのだ。
けれど、夜々の恐怖! 君の厳しい泉のなかで、
私は脈絡のない私の夢の裸を知った!

乳母、私は美しいか?
              乳
          星です、本当に。
しかしながら編んだ髪が落ち . . .
              エ
                おやめ、私の血を
その元まで冷やす、そなたの罪の状態で、そして抑えよ
その仕草、名高い冒涜を。アー! 私に話してみよ、どんな自信の
ある悪魔がこの不吉な興奮のなかにあなたを投げ込んだのか、
そのキス、それらの出された香水そして、私がそのことを言うのか?
オー私の心、まだ冒涜のその手、
思うに、そなたは私に触れることを望んでいたから、あるのは
塔について不幸なしでは終わらないであろう一日 . . .
オー塔、エロディアードがそれを恐怖して見つめるとは!
              乳
確かに奇妙な時、その時から天があなたをお守り給わんことを!
あなたはさまよっておられる、独りきりの影と新たな激怒、
そして早熟のあなたらしく恐怖をともなって眺めていて。
しかしながら女神と同様にかわいらしく、
オーわが子、恐ろしいほど美しく
あたかも . . .                    
              エ
                             
      しかし私に触れようとしていたではないか?

              乳
                            私は
「運命の神」があなたの秘密をあてがう者でありたいのです。
              エ
オー! お黙り!
              乳
        あの方は時々お越しですか?
              エ
                     澄んだ星々、
耳に入れてはならぬ!
              乳
          さてどうして、暗い恐怖のなかでなければ、
まだまだ厳しい夢を見られるのでしょう、
しかもあなたの恵みである財宝が
待ち受けている神に懇願するように! そして誰のために
不安に苦しめられ、知られていない光輝とあなたの存在の
むなしい神秘を守るのでしょう?
              エ
                私のために。
              乳
悲しい花、それは独りきりで育ち、水中に見られる無気力な
その幻影よりほかに感動したものはない。
              エ
ほら、監禁せよ、皮肉のようなそなたの哀れみを。
              乳
それでもご説明ください。オー!ノン、純真なお子、
いつの日か、衰えるでしょう、その勝ち誇った軽蔑も . . .
              エ
されど誰が私に触れるのであろうか、名誉あるライオンたち?
もとより、私はなにも人間を望まないし、
もしそなたが楽園で道に迷った私の目を見るならば、
それは昔飲んだそなたの乳を私が思い出している時。
              乳
いけにえ、運命に捧げられて痛ましい!
              エ
そうよ、私のために、私のためよ、私が花咲くのは、ひとりで!
皆が知っている、アメシストの庭園、目を奪われる
学者の深淵のなかに終わりなく隠されている。
知られていないゴールド、初期の大地の暗い眠りの下で
皆の太古の光を保っている。
皆は石、澄んだ宝石のような私の両目はそれから
旋律的な明るさを負っている。そして皆は
金属、私の若い髪に運命の輝きと
どっしりした気品を与えている!
そなたに関しては、女、邪悪な時代に
巫女の洞窟の意地悪に味方して生まれ、
死すべき人間について語り!そなたによると、衣の萼から、
激しい歓喜の香り、私の裸身の白いわななきが出るのだろうが、
予言しなさい、もし夏の暖かい青空が、
彼に向かって生まれつき女は自身をあらわにするのだが、
星の震える私の羞恥のなかで、私を見るならば、
私は死んでしまうと!
          私は処女である恐怖を好み、私の髪が
私に生み出す不安のなかで生きたい、
夜、私の褥に引きこもり、犯されたことのない
蛇、役に立たない肉体の状態で
君の弱い光の冷たいまたたきを感じるために。
君、死にかけている、君、貞節に焦がれている、
白い夜、氷塊と冷酷な雪でできている!

そして君の孤独なシスター、オー私の永遠のシスター、
私の夢は君の方へ昇っていく、すでにそうして、
類まれな心の清澄、それを夢見たもの、
私の単調な国のなかで、私は自分を独りきりだと思う、
そして私のまわりでは、すべてが鏡を崇拝して
生きている、それは眠る静寂の面にエロディアードを
映している、ダイヤモンドの清らかな眼差しで . . .
オー最後の魅惑、そう! 私はそれを感じる、私は独り。
              乳
王妃さま、では死んでしまうのですか?
              エ
                  いいえ、哀れな祖母、
静かに、そしてあなたを遠ざかるとき、厳しいこの心を許せ、
でもその前に、どうぞ、鎧戸を閉めておくれ。熾天使の
青空は奥深い窓ガラスのなかで微笑んでいる、
そして私は美しい青空が耐えられない!
                  波は
静かに揺れ、彼方に、そなたはある国を知らないだろうか、
そこの不吉な空にあるのはウェヌスに嫌われる眼差したち、
彼女は宵に、葉叢で身を焦がすが。
私はそこへ旅立つことになろう。
               もっと火を、子供っぽいと
そなたは言うかもしれないが、それらの燭台に、そこは
軽い火の蝋燭が、虚しいゴールドなかで異質の涙を流している
そして . . .
              乳
     今は?
              エ
        さらばだ。
             そなたは嘘をついておる、オー
裸の花である私の唇!
          私は未知のことを待っている
それとも、たぶん、神秘とそなたの叫びを知らないで、
そなたは最後のそして少女時代に傷つけられた嗚咽を
あげるがよい、夢想のなかで冷たい宝石類が
とうとう別れるのを感じながら。



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詩の贈り物 Don du poème


        詩の贈り物

私はイデュメアのひと夜の子を君に届ける!
暗闇、出血し青白い翼に、羽は抜けているが、
芳香と金色に焼かれたグラスを通って、
冷たく、アー!まだ陰鬱な窓々を通って、
曙光は天使のようなランプに飛びかかったのだ、
勝利の棕櫚!しかし敵意のこもった微笑みを試みる
この父に、曙光がこの聖遺物をあらわに出したとき、
不毛で青い孤独は身震いした。
オー子守女、君の娘と冷たい君らの足の純真で、
この恐ろしい生誕を迎えてくれ。
そして君の声、ヴィオールやクラヴサンを思わせているが、
衰えたその指で君が搾るのは乳房か、
それによって流すのは巫女の白さの女、
無垢の青空の大気が渇かす唇のために?



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施し物 Aumône


           施し物

この財布を手に取れ、物乞い! 君はそれに酔わなかった、
老けた乳飲み子、けちな乳房でできているぞ、
そこから少しずつ、君の弔鐘を搾り出すために。

この貴重な金属から、奇妙な何らかの罪悪を引き出せ、
しかも巨大だ、私たちが、いっぱいの拳で、それをキスするように
そこに吹け、なんと罪悪が身をよじる! 輝くファンファーレを。

香とともにある教会、すべてのあれらの建物、
それらの壁の上方に青い晴れ間が静かに揺れるとき
たばこは黙って祈祷を包んでいる、

そして強力なアヘンは薬局を壊す!
衣装と皮膚、君がしたいのはそのサテンを引き裂くことか、
そして幸せな唾液のなかで無気力を飲むことか、

豪華なカフェを回って朝を待つことか?
天井はニンフたちとベールで飾られ、
だれかが、窓から物乞いに、ごちそうを投げる。

そして君が去るとき、老いた神、梱包の布のなかで
震えながらだが、夜明けの光は金のワインの湖だ、
そして君は宣誓する、喉に星々があると!

君の宝の輝きを見積らないので、
君ができるのは、少なくとも自分を羽根で飾ること、終課で
君がまだ信じる聖人に大ろうそくを捧げることだ。

君には思うな、私がばかげたことを言っていると。
古い大地は飢餓で死ぬ者に開かれている。
私はほかの施し物が大嫌いだ、それで君は私を忘れてくれ

そしてとりわけ行くな、兄弟、パンを買いに。



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ため息 Soupir


         ため息

私の魂は、君の額に向かって、そこで夢見るのは、
オー静かな妹、そばかすをまき散らされた秋だが、
そして、天使のような君の視線のさまよう空に向かって、
昇っている、あたかも忠実で憂鬱な庭園のなかで、
水の白い噴射が「青空」に向かってため息をつくように!
― 薄く澄んだ「十月」に柔くされた「青空」に向かって、
それは大きな池々にその無限の憂愁を映している、
そして、葉々の黄褐色の苦悶が風に漂い、
冷たい溝を掘っている死んだ水の上に、
黄色い日光を長い光線で消え残らせている。



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海風 Brise marine


           海風

肉体は悲しい、アー! そして私はすべての本を読んだ。
逃げる! 彼方へ逃げる! 私は感じる、
鳥たちが未知の泡立ちと大空のあいだで陶酔しているのを!
何も、目に映された古い庭々も、
海に浸るこの心を引き止めないのだ、
オー夜々! 白さが守る何もない紙のうえにある
私のランプのうつろな明るさも、
そして子に授乳する若妻も。
私は出発する! 蒸気船、全マストを揺すっている、
錨を上げよ、異国の自然をめざして!
倦怠は、残酷な希望で困惑しているが、
ハンカチらの最後の別れをまだ信じている!
しかも、数々のマストは、雷雨を招き、それらは
風が幾つもの絶望した難破船の上で傾けることもありうるのだ、
マストがない、マストがない、豊かな小島群もない . . .
だが、オー私の心、聞くがよい、その水夫らの歌を!



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青空 L'Azur

   
         青空

永遠の「青空」の晴朗な皮肉が
圧倒するのは、花々のように静穏で美しい、
凡庸な詩人、その人は「苦悩」の不毛砂漠を
介して自分の才能を呪っているが。

逃げて、目を閉じているのに、私が感じるのは、
茫然とさせる悔恨の強さで、空疎な私の魂を見つめている
青空。どこへ逃げるのか? そしてどんな凶暴な夜を
投げつけるのか、切れはしを、悲痛なこの侮辱の上に?

霧、立ち上がるのだ! 君の単調な灰をまき散らせ、
靄の長いぼろとともに、空のなかに、
そこは秋の鉛色の沼が覆いつくしている、
それから沈黙の巨大な天井を築き上げよ!

そして君、愛しい「倦怠」、忘却の池を出て、
君が来るとき、泥土と青白い葦を集めるのだ、
鳥たちが意地悪くあけた大きな青い穴々を
決して疲れない手によって、ふさぐために。

さらに! 休みなく悲しい煙突は
煙を出してくれ、そしてさまよう煤の牢獄が
消してほしいのは、その細くたなびくものの
恐怖のなかにある太陽、地平線に黄色く死にかけている!

―「空」は死んだ。― 君の方へ、私は駆けつける!オー物質、
与えよ、残酷な「理想」の、「罪悪」の忘却を
この殉教者に、この人は人間という幸せな家畜が寝た
敷き藁を共有しに来ている。

というのも、私がそこに望んでいるのは、つまり
私の脳が壁際に転がるおしろい瓶のように空っぽで、
すすり泣く想念を飾り立てる術もないので、
暗い死亡に向かって不吉に欠伸をすることだから . . .

無駄だ!「青空」が圧勝する、そして私はそれが鐘のなかで
歌うのを聞く。わが魂、歌声が続いている、意地悪い
その勝利の様子で私たちをもっと怖がらせ、
生きている金属から青いお告げの鐘が流れ出るために!

それは霧のさなかに鳴り響く、昔ながら、そして
確かな剣のように君の生来の苦悶を貫く。
どこへ逃げようか、無益で邪悪な反抗のなかで?
私は取りつかれている。「青空」!「青空」!「青空」!「青空」!



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夏の悲しみ Tristesse d'été


        夏の悲しみ

太陽は、砂の上、オー眠そうな戦う女、
君の髪を金色にして悩ましい水浴を熱くしている、
そして、敵意のこもった君の頬に香を焼きつくし、
恋の飲み物を涙に混ぜる。

その白い火炎のいつもの小休止は
悲しげな君に言わせた、オー私のおびえたキス、
「 私たちは決してミイラなんかにはならないわ、
古い砂漠と幸福な椰子の下で!」

だが君の髪は心地よい流れ、
そこに震えなく溺れるのは我々に取りつく魂
そして見いだすのは君が知らないあの「虚無」!

私は君の涙で濡れたおしろいを味わおう、
君が強打したその心に、それが青空と石の
無感覚を与えることができるのかを認めるために。



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鐘つき男 Le Sonneur


           鐘つき男

鐘がその明るい音を朝の純粋で
澄みきった深い大気に目覚めさせ
それに好かれようと、ラヴェンダーとタイムのなかで
お告げの祈りを投げかける子供の上にその音が過ぎていく間、

鐘つき男は、彼が照らす鳥にかすめられ、
ラテン語をうなりながら、100年の綱を
ぴんと張る石の上に悲しげに馬乗りしているが、
彼に降りる遠い鐘の余韻しか聞いていない。

私はその男だ。アー! 欲望の夜について、
私が「理想」を鳴らすために太綱を引いても、
忠実な羽は冷たい罪悪で飛び回り、

その音は切れ切れでうつろにしか私に届かない!
だが、いつか、ついに引くのに疲れて、
オー「魔王」、私はその石を取り除き、首をつるのだ。



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[ うんざりだ、苦い休息に . . . ] [ Las de l'amer repos . . . ]


       [ うんざりだ、苦い休息に . . . ]

うんざりだ、苦い休息に、そのとき私の怠惰が侮辱するのは
ある栄光だが、そのために私は自然な青空の下の
バラの森の愛すべき少年時代をかつて脱した、
そうしたら七倍うんざりだ、
私の脳みその強欲で冷たい土壌に新しい穴を
徹夜で掘るという固い合意に、
不毛のための同情なき墓堀人だ、
― 何を言うのか、あの「曙」に、オー「夢々」、バラの
花々に訪問され、それらの鉛色のバラたちに恐怖する
広大な墓地がうつろな穴々を平坦にするとき? ―
私は残虐な国の貪欲な「芸術」を見捨てたい、
そして、古臭い非難にはほほ笑みかけながら、
その非難は私の友人たち、過去、権化、
私の苦悶をそれでも知るランプが私にするのだが、
私は清澄で繊細な心の中国人を模倣したい、
その人には、純粋な陶酔が、雪から月までの
それらの茶碗の上に、透明な生命を芳香で満たす
奇妙な花によって奪われた終末を描くことだ、
その花は彼が、子供のころ、接ぎ木された魂の
青い透かし模様に感じたものだが。
そして、そのような死、賢人の唯一の夢をもって、
心静かで、私は若い風景を選ぼう、
それをさらにそれらの茶碗の上に描きたい、放心して。
細く淡い群青の一本の線は、
ひとつの湖であろう、裸の磁器の空のなかにある、
明るい三日月は、白雲に隠れているが、
水の鏡にその角を浸している、
遠くないところに、エメラルド色の三本のまつげ、葦だ。



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不安 Angoisse


           不安

私は君の体を今夜征服しに来たのではない、オー獣
それに動いているのは人々のシンだ、悲しい嵐を
えぐりに来たのでもない、不純な髪のなかで、
私のキスが注ぐ治せない倦怠のもとで。

私が君のベッドに求めるのは夢なしの重い眠り、
それは悔恨を知らないカーテンの下で滑空している、
そして君の黒い嘘の後で君はそれを味わうことができる、
君こそ虚無について死者よりもそれによって知るのだ。

というのは悪徳が、私の生来の高貴さをむしばんでいて、
君と同様にその不毛を私に刻印したから。
だが君の石の胸には、どんな犯罪の歯も

傷つけない心が住みついているのに、
私は逃走する、青ざめ、憔悴して、私の死衣によって取りつかれ、
一人で寝るときの死を恐れて。



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春の再来 Renouveau


           春の再来

病的な春が悲しくも追い払ったのは
冬、穏やかな芸術の季節、明晰な冬、
そして陰気な血が主宰する私の存在のなかで
無力は伸びをしている、長いあくびをして。

白い曙は私の頭蓋のなかで温かくなる、
その頭蓋を古い墓石のように鉄の輪が締めつけているが、
悲しくなって、私はあいまいで美しい夢を追って
無限の樹液がゆっくり踊る野原をさまよう。

それから私は木の香りに興奮し、疲れて倒れる、
それも私の顔で私の夢に向かう穴を掘りながら、
リラが生える熱い大地をかじりながら、

私は待つ、私を沈潜させて倦怠が高まるのを . . .
― しかしながら「青空」は笑っている、垣根と目覚めの上で、
それは太陽にさえずり花盛りにいるあんなにたくさんの鳥たちのだ。



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花々 Les Fleurs


            花々

最初の一日に、古い青と金色の雪崩から、
そして星々の永遠の雪から、
往古あなたは大きな苦難を切り離された、
まだ若く災難に無垢な大地のために、

鹿毛色のグラジオラス、首の細い白鳥たちと一緒に、
そしてあの神々しい月桂樹、追放された人の魂の、
熾天使の澄んだ足指のような鮮紅色の、
踏まれた曙光の恥じらいがその天使を赤く染めているが、

ヒヤシンス、愛らしい輝きの天人花、
そして、女の肉体と同じような、残酷な
バラ、エロディアード明るい庭に花と咲く、
その女、凶暴で輝く血が潤している!

それからあなたはユリのすすり泣く白さを創られた、
その白さはそれがかすめる溜め息の海を転がりながら、
色あせた地平線の青い香を越えて、
涙を流す月の方へうっとりと昇って行く!

ホサナ賛歌、シターンを用いつり香炉とともに、
聖母マリア、ホサナ賛歌、地獄のへりの庭での!
それでその反響が天上の夕暮れにて終わりますように、
視線の恍惚、頭光のきらめき!

オー母、あなたが公正で強いあなたの胎内に創られたのは
未来の瓶を揺すっている苦難、
かぐわしい「死」を伴う大きな花々、
人生を虚弱にして疲れた詩人のために。



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窓 Les Fenêtres


           窓

うんざりだ、悲しい施療院に、しかもひどい香に、
それはカーテンの平凡な白さで立ち昇る、
空虚な壁に退屈する大きなキリストの十字架像の方へ、
陰険な瀕死の男がそこで起こすのは老いた背、

足を引きずり行くのは、彼の腐った体を
温めるより敷石の日向を見ようとして、
白い髭と痩せた顔の骨を
明るく美しい光線が日焼けさせる窓に押しつけに、

そしてその口が、熱があり青空に貪欲だが、
そうして、若い、それが行って吸ったのは彼の宝、
昔の処女の肌!だが、汚すのは苦くて長いキスによる
金色の生あたたかい窓ガラス。

酔って、彼は生きる、忘れているのは、聖油の恐怖、
煎じ薬、大時計と苦痛を与えられるベッド、
咳。夕暮れが屋根瓦の間で血を流すとき、
彼の片目が、光に満ちた地平線に

見ているのは、金色のガレー船団、白鳥のように美しい、
緋色で芳香の大河にあるその船団は眠っている、
鹿毛色でそれら多くの線の閃光を揺すりながら、
思い出を積んだ偉大な緩慢のなかで!

したがって、人間の嫌悪にとらえられて、その人間は
魂が厳しく、彼の欲望はただ食べるだけという幸福に
溺れ、子らに授乳する妻に与えるために
このごみを強情に探し続けるのだが、

私は逃げる、そしてすべての窓にしがみつく、
そこから人は人生に背を向ける、そして、祝福される、
それらのガラスのなかに、それは永遠の露で洗われ、
「無限」の純粋な朝が金色にしているが

私は自分を映し、私が天使であるのを見る! それから私は死ぬ、
そして私がしたいのは ― 窓ガラスは芸術であれ、神秘性であれ ―
再び生まれることだ、王冠をかぶった夢を携えて、
「美」が花と咲く前世の空に!

しかし、アー! 現世が支配者だ。その付きまとう作用は
安全な避難所にいても時おり私の胸をむかつかすことになる、
しかも「愚鈍」の汚れた嘔吐は
私に自分の鼻をふさぐことを強いる、青空の前で。

可能なのか、オー「私」、苦さを知っているが、
怪物に侮辱された窓ガラスを打ち破り、
羽根のない私の両翼で逃げることが、
― 永遠に落ちる危険を冒しても?


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罰せられた道化者 Le Pitre châtié


         罰せられた道化者

目、湖、生まれ変わるのは道化役者でなく別の物にと
私は単純に陶酔して、その役者はケンケ灯の汚い煤を
羽根として身振りで思わせるが、
私は幕の壁にひとつの窓をあけた。

純真な泳ぎ手で裏切り者、私の足と両手で
増やされた跳躍をするが、否認するのは悪いハムレット!
水中で千の墓を私は新しくしていたかのようだ、
そこに純潔の姿を消すために。

拳がもつシンバルの陽気でいらだつ金色、
突然、太陽はこの裸体を打つと
私の真珠色の純粋なそれは蒸発した。

皮膚がすえたにおいの夜、私の上をあなたが通り過ぎたとき
知らなかった、忘恩者! 完全な私の聖別式だったのは
氷河の不実の水のなかにある紅と白粉だけとは。



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たわいない小詩 Placet futile


        たわいない小詩

公爵夫人!あなたの唇のキスで、このカップに現れる
ヘベのような女の幸運をうらやんで、
私は恋の炎を使う、だが私は地味な順位の神父でしかない
それで同じ裸でもセーヴル焼きには描かれないだろう。

私はひげの生えたあなたの子犬ではないし、
キャンディーでも口紅でも、甘い遊戯でもない、
そして私に襲いかかる閉じたあなたの眼差しを私は知っているのだ、
金髪の人、神々しいその髪結いたちは金銀細工師たちだが!

私を名づけてください . . . あなた、木苺の香りの多くの笑いが
なついた子羊らの群れのなかで合わさっている、
それらすべてで願いを食べている、熱狂して鳴いている。

私を名づけてください . . . 愛の神は扇の翼をもち
そこに私を描くから、この羊小屋を眠らせる笛を指にしているが、
公爵夫人、私を名づけてください、あなたの微笑みに合う羊飼いと。



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出現 Apparition


         出現

月は悲しんでいた。熾天使たちは涙して、
楽弓を指に、おぼろげな花々の静寂のなかで夢見て、
もの憂げなヴィオルから花冠が群れる蒼穹に滑りこむ
清らかなすすり泣きを引き出していた。
━━その日だった、きみの初めてのくちづけは祝福された。
私の夢想は私を好んで苦しめ、
後悔がなく苦い後味がなくても、夢の収穫が
夢を摘み取った心に残している悲しみの
香りに訳知りで酔っていた。
それで私は彷徨っていた、古い舗石に目をしっかり向け。
その時、髪に日の光を受け、通りで
夕方に、きみは笑いながら現れた。
私は輝く帽子の妖精を見たと思った。
遠い昔、それは甘やかされた子供だった私の美しい
眠りの上を通り過ぎていた。軽く握った両手から
香る星々の白い花束をいつも雪と降らせて。



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つきまとう不運 Le Guignon


        つきまとう不運

人間である仰天した家畜らの上を
光のなかで飛び跳ねていたのは、野生の豊かな髪、
青空を乞う者たちのものであり、足はわれらの道のなかにある。

黒い風は、彼らの歩みに向かい、旗として使われ、
そんな寒気で肉のなかまで、その歩みを鞭打っていた、
そこに炎症する轍も掘っていた。

いつもその海と出会う希望を持って、
パンなし、杖なし、壺なしで、彼らは旅していた、
苦い理想でできた黄金のレモンに食いつきながら。

その多くは、あえいだ、夜々の縦列行進のなかで、
自分らの血が流れるのを見いだす幸福に酔いながら、
オー「死」、唯一のキスだ、無口な彼らの口々への!

彼らの敗北、それはひとりの天使によるものだ、
非常に力があり、地平に直立し、抜身の剣を持っている。
緋色染料は凝固する、感謝する胸において。

彼らは苦痛を吸っている、夢の乳を吸っていたように、
そして彼らが官能の涙をしだいにリズムに合わせていくと
民衆はひざまずき、彼らの母は立ち上がる。

その人らは慰められ、自信に満ち、威厳がある。
だが彼らの歩みに引き連れているのは、人が愚弄する百人の兄弟、
曲がった偶然による笑うべき殉教者ら。

涙と同様な塩は、彼らの柔らかな頬を蝕む、
彼らは同じ愛をもって灰を食べる、
だが下品か滑稽か、運命は彼らを車裂きにする。

彼らは太鼓のようにかき立てることもできた、
声の色あせた民衆の卑屈な同情を、
彼らはプロメテウスと同等だ、鷲は欠けるが!

いや、下劣でよく行くのは雨水溜めのない砂漠だが、
彼らは短気な君主、「不運」の鞭の下で奔走している、
かつてないその笑いは彼らを平伏させる。

恋人ら、彼が飛び乗り馬の尻に3人、分割者だ!
それから急流を飛び越え、君らを沼に投げ込み、
そしてひとつの泥の塊を残す、白い泳ぐ男女だ。

彼のせいで、もし彼氏が奇妙な自分のラッパに息を吹くなら、
子供らは執拗な笑いのなかで我らを引きつらせるだろう、
尻に拳の子供らが彼のファンファーレの真似をして。

彼のせいで、もし彼女が衰えた胸を一輪のバラで程よく飾り
そこを年頃のように再燃させるなら、
呪われた花束の上に、よだれが光るだろう。

そしてこの骸骨は、小人で、羽のついたフェルト帽をかぶり、
ブーツをはき、そのわきの下には本物の毛の代わりに蛆を生やして
いるが、彼らのとっては無限に広がる苦悩である。

いじめられても、彼らはその邪悪な者を挑戦しにいかない、
彼らのきしんでいる決闘用長剣は月の光線に続く、
それは骨格のなかを雪のように降り、横切り通る。

不運を聖化する自負心がなく、悲嘆にくれて、
そしてくちばしでつつかれた骨の仕返しに、陰鬱にして、
彼らは憎悪を渇望する、恨みの代わりに。

彼らは気晴らしだ、三弦楽器の下手な弾き手らの、
子供らの、娼婦らの、そして老けた奴らの、
酒が乾くとぼろを着た奴らは踊っているが。

詩人ら、施し物や復讐に適する者らは、
抹殺されたこれらの神々の不都合を知らないで、
彼らのことを退屈で知性がないと言う。

「彼らはそれぞれの手柄を十分に立てて逃げることができる、
鎧を着てギャロップで駆け出すよりも
嵐によって無垢の馬が泡を吹くようにして。

われらが香を焚いて陶酔させるのは、祭りのなかの勝利者。
だが彼ら、道化師らは着ようとしないのか、
人が立ち止まるほどの、うなる緋色のボロ着を!」

面と向かって、皆が彼らに軽蔑の唾を吐いたとき、
無価値らで、低い声で雷を祈っているひげ、
これらの英雄らは、愚かな不快でうんざりさせられ

滑稽にも街灯に首つりに行く。
  


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詩集 マラルメ 挨拶 Poésies  Mallarmé  Salut


       挨拶
   
何もない、この泡立ち、処女の詩句
ただ脚付きグラスを指し示すことしか。
これほど遠く群れをなすセイレンたちが
溺れている、さかさまにたくさん。

われわれは航行中だ、オー私の色々な
友人達、私はすでに船尾にいる、
きみらは豪奢なその船首にいて、
雷と冬の海を切り開く。

美しい陶酔は私を誘い
船の縦揺れさえ恐れずに
立ってこの挨拶を捧げる、

孤独、暗礁、星
われわれの帆の白い悩みに
値する総てのものに。


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126 旅 Le Voyage


        126 旅
        マクシム デュ カンに

             Ⅰ

地図と版画が好きな子供にとって、
森羅万象はその子の広大な食欲に等しい。
アー!なんと世界は大きいことか、ランプの光の下で!
思い出の目にはなんと世界は小さいことか!
 
ある朝我々は出発する、脳は炎に満ち、
心は恨みと苦い欲望を孕んで、
そして我々は行く、大波のリズムをたどり、
大海の有限に対して我々の無限をあやしながら。

ある人たち、忌まわしい祖国を、逃れるのに喜んでいる。
他の人たち、恐ろしい揺籃の地を、若干の人たち、
女の目のなかにおぼれた占星術師たち、
危険な香りのする横暴のキルケを。

獣に変えられないように、彼らは酔うのだ、
時の広がりに、光に、燃え上がる空に。
彼らをかむ氷は、彼らを赤銅色にする刻々の太陽は
キスのマークをゆっくり消し去っている。

だが本物の旅人は、出発するために出発する
人々だけだ、軽い心、風船に似ている、
彼らの宿命から決して彼らは離れないで、
なぜだかわからずに、常に言う、「行こうよ!」

その人々、それらの欲望が雲の形をしている、
そして新兵の大砲のように夢を見ている、
変わりやすい経験のない巨大な悦楽の、
そしてそれは人間の精神が決して知らないものだ!

            Ⅱ

我々はまねる、恐怖!独楽とボールを、
それらの円舞曲とそれらの跳躍のなかで。睡眠中でさえ
「好奇心」は我々をこねくり回し、転がす、
太陽たちを鞭打つ残酷な「天使」のように。

特異な運命は、その目標が移動しているもので、
どこにもないから、どこでもありうるのだ!
その運命は、希望が決して飽きない「人間」が
休息を見つけるために、狂人のようにいつも走るものだ!

我々の魂は三本マストの船、理想郷イカリアを探す。
ある声が甲板上で響き渡る、「目を開け!」
檣楼からの声、熱く狂っているが、叫んでいる、
「恋 . . . 栄光 . . . 幸福!」 地獄!これは暗礁だ!

どの小島も、見張り番の男に示されるが、
黄金郷だ、それは「運命」によって約束されている。
「想像力」は、大饗宴を整えるが、
朝の光の下では岩礁しか見いださない。

オー夢のような国々に恋する哀れな男!
彼を鉄鎖につなぐべきか、彼を海に投げこむべきか、
この酔った水夫、アメリカ大陸の考案者、
その幻影は深淵をもっと苦くするのだが?

そうしてその年老いた放浪者は、泥のなかで足踏みしても、
輝かしい楽園を夢見る、鼻を空に向けて。
彼の目は魔法にかけられ、歓楽の町カプアを発見する、
ローソクがあばら家を照らす所はどこでも。

            Ⅲ

驚くべき旅人たち! なんて気高い物語を
海のように深い君たちの目のなかに、我々は読むことか!
我々に見せよ、君たちの豊かな記憶の宝石箱を、
星とエーテルでできた素晴らしいそれらの宝石を。

我々は旅をしたい、蒸気や帆なしで!
通させよ、我々の牢獄の倦怠を楽しませるために、
カンバスのようにぴんと張った我々の精神の上に、
水平線の額縁のある君らの思い出たちを。

言うのだ、何を君たちは見たのか?


            Ⅳ

         「我々が見たのは星
と海。我々はさらに砂原も見た。
そして、多くのショックと不測の災難にもかかわらず、
我々はたびたび退屈する、ここと同じように。

紫色の海の上にある太陽の光輝が、
沈む太陽を浴びる都市の光輝が、
気を引く反映の空に沈めることで、かき立てていたのは、
我々の心のなかにある不安の熱情。

最高に豊かな都市、最高に偉大な風景が、
決して含んでいなかったのは、偶然が雲に作る
それらのものの不思議な魅力、
それでいつも、欲望は我々を物思いにしていた!

━━ 喜びは欲望に力を加える。
欲望、古い木、それには快楽が肥やしになる、
君の樹皮が厚くそして堅くなる間に、
君の枝たちは太陽をもっと近くで見たがっている!

君は相変わらず伸びるつもりか、大樹、糸杉よりも
根強いが? ━━ それでも我々は、君たちの貪欲な
アルバムのために、念入りに何枚かクロッキーを集めた、
兄弟、君たちは遠来のものがすべて美しいと思っている!

我々が敬意を表したのは、偶像、象の鼻をしている。
玉座、光り輝く宝石の星座で覆われている。
宮殿、細工が施されていて、夢幻的な荘厳が
君たちの銀行家にとって破産の夢であろうところ。

衣装、目にとって陶酔である。
女たち、歯と爪が染められている、
そして旅芸人、巧みで蛇が愛撫している。」

            Ⅴ

それから、それからまだ?

            Ⅵ

       「オー子供の脳!

重要なことを忘れないために、
我々はいたるところで見た、探したわけではないが、
宿命の梯子の上から下までの、
不滅の罪、うんざりさせる光景を。

女、奴隷だ、卑しく、高慢で愚かで、
笑わずに自分をあがめ、嫌にならずに自分を愛する。
男、暴君だ、大食いで、好色で、厳しく強欲で、
奴隷の奴隷、下水のみぞだ。

死刑執行人、彼は享楽している。殉教者、彼はすすり泣く。
祭り、血が味をつけ香りをつけている、
権力の毒が弱らせている専制君主、
そして民衆、自分を愚かにする鞭が大好きだ。

いくつかの宗教、我々のものと似ている、
そのすべて、天に梯子をかけてよじ登る。「聖徳」、
羽根布団に寝転がる優雅な男のように、
釘や硬い毛のなかで悦楽を求めている。

「人類」、話し好きで自分の天才に酔っている、
しかも、浮かれている今も、昔と同じように。
神に叫んでいる、怒り狂った苦悶のなかで、
「オー我が同類、オー我が主、私は汝を呪う!」

そして一番愚かさの低い者ら、大胆にも「錯乱」の恋人だ、
「宿命」に囲い入れられた羊の大群から逃れているが、
避難しているのは、果てしない阿片のなか!
━━ 以上が地球全体に関することで、いつもの報告書だ。」

            Ⅶ

苦い知識なのだ、人が旅から引き出すものは!
世界は、単調で小さく、今日、
昨日、明日、いつも、我々の姿を我々に見せる。
恐怖のオアシス、倦怠の砂漠のなかにある!

出発すべきか? 留まるべきか? 留まれるなら、留まれ。
出発しろ、必要とあれば。走る者やうずくまる者がいる
欺くためのものは、抜かりなく死をもたらす敵、
それは「時間」! えい!休みなく走る者たち、

「さまよえるユダヤ人」か十二使徒のように、
何も十分ではない、列車も船も、
その忌まわしい網闘士を逃れるために。それについて
他の人たちがいて、それを殺せる、揺籃の地を離れずに。

ついにそれが我々の背骨の上に足を置くとき、
我々は希望して叫ぶことができるだろう、「前進!」
かつて中国へ出発した時と同じように、
両目は広く見据えられ、髪は風に、

我々は「暗黒」の海の上に乗船するだろう
若い乗客の楽しい心で。
君たちは聞こえるか、不吉と魅力のあるあれらの声々が、
それらは歌う、「こちらへ!皆さん、よい香りのロータスを

召し上がりたい方々! ここですよ、皆さんの心が
飢える奇跡の果物が穫れるのは。
いらっしゃい、うっとりしていって、決して
終りのないこの午後の異国の甘さに。」?

なじみの語調に、我々はその幽霊を見抜く。
我々の親友たちは、あそこで腕を我々の方に差し出している。
「君の心を一新させるために、泳げ、君のエレクトラへ!」
女は言う、かつて我々が彼女の両膝にキスしていた人だ。

            Ⅷ

オー「死」、老船長、時が来た! 錨を上げよう!
この国は我々を退屈させる、オー「死」! 出航しよう!
たとえ空や海がインクのように黒くても
我々の心は、君が知っているが、光線に満ちている!

我々に君の毒を注げよ、それが我々に力を与えるから!
我々は望んでいる、それほどこの火は脳を焼いているが、
深淵の底に飛び込むことを、「地獄」か「天国」、何が重要?
「未知なるもの」の底に、「新しいもの」手に入れるために!



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125 好奇心の強い男の夢 Le Rêve d'un curieux


    125 好奇心の強い男の夢
            F.N.に

私と同じように、君は知っているか、味のある苦悩を、
君のことを人に言わせているか「オー!変わった人!」
━━ 私は死のうとしていた。恋する私の魂のなかに
あったのは、恐怖の混じった欲望、独特の苦痛、

不安と激しい希望、逆らう気はなかった。
運命の砂時計が空になってゆくほど、
私の苦しみはもっと激しく、甘美になった。
私の心のすべては親しんだ世界から抜け出ようとしていた。

私は芝居を見たがっている子供のようだった、
困難を憎むように、その幕を憎んでいて . . .
ついに冷酷な真実が明らかになった。

私は死んでいた、驚きなしに、そして恐ろしい曙は
私を包んでいた。━━ エー何!これはまさかそれだけか?
幕は上がっていたのに、私はまだ待っていた。



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124 一日の終わり La Fin de la journée


      124 一日の終わり

どんよりした光のもとで
わけもなく走る、踊るそして身をよじる
「ライフ」、破廉恥で騒々しい。
だから、地平線に

快楽を好む夜が上がってくるとすぐに、
すべてを、飢えさえも、鎮め、
すべてを、恥さえも、消している夜だが、
「詩人」は自分に言う、「ついに!

私の精神は、私の脊椎と同じく、
休息を熱烈に願っている。
その心、死を思わせる夢々で満ちている、

私は背を下にして寝るとしよう
そしてあなたの帳のなかで転がろう、
オー再び新鮮にする暗闇!」



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123 芸術家たちの死 La Mort des artistes


      123 芸術家たちの死

何回しなければならないのか、私の鈴を振ることを、
そして君の下品な額、陰気な戯画、にキスすることを?
神秘のモデルの、標的のなかを突き刺すために、
オーわが矢筒、何本の投げ槍を失わなければならないのか?

我々は巧妙な陰謀に我々の魂をすり減らし、
多くの重い骨組みを解体するだろう、
地獄の欲望が我々を嗚咽で満たす
偉大な「創造物」を熟視する前に!

自らの「偶像」を決して知らなかった人もいる、
しかもそれらの彫刻家たちが、地獄に落とされ、
侮辱の烙印を押され、胸と額を自ら槌で叩いているが、

ひとつしかもっていないのは希望、奇妙で暗い凱旋だ!
「死」は、新しい太陽のように中空にかかり、
彼らの頭脳の花々を開花させるだろう!



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122 貧しい人々の死 La Mort des pauvres


     122 貧しい人々の死

「死」こそが、慰める、アー!そして生きさせる。
それは人生の標的であり、それは唯一の希望である、
それは、霊薬のように、我々を高揚させ、我々を酔わせる、
そして夕暮れまで歩く勇気を我々に与える。

嵐、雪、霧氷を越えて、
それは光、我々の黒い地平で震えている。
それは宿屋、有名で本に書かれている、
そこでは食べる、眠る、座ることができる。

それは「天使」、磁気のあるその指々のなかに
睡眠とうっとりした夢の贈り物を握っている、
そして裸で貧しい人々のベッドを作り直している。

それは「神々」の栄光、それは神秘の穀物倉、
それは貧しい人の財布であり、その人の古い故郷、
それは開かれた柱廊、未知の「天国」への!



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死  121 恋人たちの死 La Mort  La Mort des amants

 
           死

     121 恋人たちの死

私たちが持つことになるのは、軽い香りに満ちたベッド、
墓のように深々とした長椅子、
そして飾り棚の上には奇妙な花々、
ひときわ美しい空の下で、私たちのために花開く。

競ってそれらの最後の熱を用いて、
私たちの二つの心は、大きな二つの炎になる、
そしてそれらは二重の光を反映するだろう、
私たちの二つの精神、双子の鏡のなかに。

バラ色と神秘のブルーからなる夕暮れに、
私たちはただ一つの閃光を交わし合うのだ、
永別で重苦しい、長い嗚咽のように。

そしてのちほど、忠実で喜ばしい「天使」が
扉を押し開き、よみがえらせに来るだろう、
曇った二つの鏡と死んだ二つの炎を。



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120 サタンへの連祷 Les Litanies de Satan


    120 サタンへの連祷

オー君、「天使」のなかで最も博識で最も美しい者、
神、運命に裏切られ、賛歌を奪われている、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

オー追放の「王者」、彼に対して不当に扱われていた、
そして負けても、つねにもっと強く立ち上がっている、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

すべてを知る君、地下の事物の偉大な王、
人間の苦悩をなおす親しい治療師、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、癩病患者や、呪われた不可触賤民にさえ、
愛によって「天国」の味を教えている、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

オー君、「死」から、君の老いて強い恋人だが、
もうけたのは希望、━━ 心ひかれる狂女!

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、被追放者に静かで気高い眼差しをする、
彼が厳しく非難するのは死刑台のまわりの全群衆、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、ねたむ大地のどんな片隅に
嫉妬深い神が宝石を隠したかを知っている、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、その明るい目は深部の武器庫を識別する、
そこに埋もれて眠っているのはたくさんの金属、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君,その大きな手は絶壁を隠す、
建物の縁をさまよう夢遊病者に対して、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君,魔法のように、柔軟にするのは、
遅くなって、馬々に踏まれた酒飲みの老いた骨々、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、苦しんで弱々しい人間を慰めるために、
我々に硝石と硫黄の混ぜ方を教えた、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、押すのは君の烙印、オー狡猾な共犯者、
無慈悲で下劣な大富豪の額の上に、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、娘たちの目のなかや心のなかに置くのは
傷の崇拝とぼろ服の愛、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

流刑者の杖、発明家のランプ、
絞首刑者と謀反人の聴罪司祭、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

養父、「父なる神」が黒い怒りで
地上の楽園から追い出した者たちの、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

        祈り
栄光と賛歌を、君、サタンへ、かつて君が
支配した「天」の高みにおいて、そして負かされて、
君が黙って夢想する「地獄」の底において! 
私の魂が、いつの日か「知恵の木」の下で、
君のそばに憩うように計らいたまえ、「新しい神殿」
のように、君の額の上にその若枝らが広がるその時に!


119 アベルとカイン Abel et Caïn


    119 アベルとカイン

           Ⅰ
アベルの末裔、眠れ、飲め、食べろ。
神は君に好意をもって微笑んでいる。

カインの末裔、泥のなかで
這え、そして死ね、惨めに。

アベルの末裔、君の供物は
「熾天使」の鼻を楽しませる!

カインの末裔、君の責め苦は
いつか終わりがあるだろうか?

アベルの末裔、見よ、君のまく種と
君の家畜がよく育つのを。

カインの末裔、君の臓物は
飢えてわめく、老犬のように。

アベルの末裔、君の腹を温めよ
質素な君の暖炉で。

カインの末裔、君の洞穴のなかで
寒さに震えろ、哀れなジャッカル!

アベルの末裔、愛せ、そして殖えろ!
君の金も子たちを生む。

カインの末裔、燃える心、
大きな欲に気をつけろ。

アベルの末裔、君は殖える、そして食べる
カメムシのように!

カインの末裔、街道の上に
追いつめられた君の家族を連れて行け。

         Ⅱ
アー! アベルの末裔、君の腐った動物の死骸は
湯気をたてる大地を肥沃にするだろう!

カインの末裔、君の課せられた仕事は
十分になされていない。

アベルの末裔、ここに君の恥がある。
鉄具が槍に負けたのだ!

カインの末裔、天に昇れ
そして地上に投げろ、神を!



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反逆 118 聖ペテロの否認 Révolte Le Reniement de saint Pierre


          反逆

    118 聖ペテロの否認

神はいったい何をするのか、そのいとしい「熾天使」たちに
向かって毎日高まる呪いのその波について?
肉とワインで腹いっぱいの暴君のように、
彼は眠りこむ、我々の恐ろしい侮辱を甘い騒音にして。

殉教者や受刑者の嗚咽は
確かに、うっとりする交響曲なのだ、というのは、
彼らの快楽が強いるのはその血であるにもかかわらず、
天はまだそれに少しも飽き足らないのだから!

━━ アー!イエス、思い出せ、オリーブの園を!
単純にも君はひざまずいて祈っていたのだ、
卑しい執行人らが君の生きている肉に打ちこむ
釘々の音に対して、天上で笑っていた神に、

衛兵隊や炊事係の下劣なやつらが、
君の神性の上に唾を吐くのを君が体験したのに、
そして無限の「人間性」が生きる君の頭蓋に
茨の棘が突き刺さるのを君が感じたのに。

壊れた君の体の恐ろしい重さは
君のゆるんだ両腕を伸ばし、君の血
と君の汗が青ざめてゆく君の額から流れていた時、
君がみんなの前で標的のように置かれた時、

君が夢見ていたのは、あれほど輝かしく美しかった日々か、
永遠の約束を果たすために君がやってきた日々か、
おとなしい牝驢馬に乗って、花と小枝が
すべてまき散らされた道を君が歩んでいた日々か、

希望と勇気ですっかり満たされた心の君が
あれらの卑しい商人らみんなを思い切り鞭打っていた日々か、
君がついに師となった日々か? 悔恨、それは
槍よりも深く君の脇腹に食い込みはしなかったか?

━━ 確かに、私は離れるのだ、私といえば、満足して、
行動が夢の姉妹ではない世界から。
願わくは、剣を使い、剣によって滅びたいものだ!
聖ペテロはイエスを否認した . . . 彼はよくやった!



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117 キューピッドと髑髏 L'Amour et le crâne


    117 キューピッドと髑髏
          古い章末のカット

「キューピッド」は「人類」の髑髏の上に
   座っている、
しかもこの玉座の上の未信者が
   厚顔な笑いで、

陽気に吹いているのはシャボン玉、
   それは空に上がっている、
エーテルの奥のさまざまな世界に
   つながるかのように。

輝いて弱々しいその球は
   大きく飛翔して
破裂する、そしてかぼそい魂を吐き出す、
   黄金の夢のように。

私は聞こえる、それぞれのシャボン玉に
   髑髏が懇願しうめくのが。
━━「この遊びは、冷酷でばかげているが、
   いつ終わるつもりなのか?

なぜなら君の残忍な口が
   空中にまき散らしているもの、
人殺しの怪物、それは私の脳みそ、
   私の血、私の肉だから!」



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116 シテールへの旅 Un Voyage à Cythère


    116 シテールへの旅

私の心は、鳥のように、とても嬉しく飛び回り、
帆綱のまわりで自由に滑空していた。
船は横揺れしていた、雲のない空の下、
光り輝く太陽に酔わされた天使のように。

何だ、あの陰気で黒い島は? ━━シテールだ、
我々に誰かが言う、歌のなかにある有名な国、
月並みな黄金郷、すべての老けた独身男の、
見なさい、要するに、貧しい土地だ。

━━ 島、甘い秘密と心の祝祭の!
古代のヴィーナスの美しいまぼろしは
君の海の上に芳香のように漂う、
そして人々を恋と悩ましさで満たす。

美しい島、緑の桃金嬢があり、たくさんの花々が咲き、
あらゆる国民によって永久に敬愛されている、
そこでは敬慕する人々のため息が
巡っている、まるでバラ園にある香

それとも森鳩の終わりのない鳴き声のように!
━━ シテールは最もやせた土地でしかなかった、
鋭い叫びによって乱された石だらけの荒れ地。
ところが私がかいま見たのは、奇妙な物だった!

それは小さな林の日陰がある神殿ではなかった、
そこでは花を愛する若い巫女が、
秘めた熱でその身を焦がし、行きずりの
そよ風にそのローブを少し開けながら、行くのだが。

それではなく、岸にかなり近くを走って、
白い帆といっしょに鳥たちを騒がせていたとき、
我々が見たものは、三本に分かれた絞首台、
空に黒く浮かび上がっていた、糸杉のように。

凶暴な鳥たちの一部は、餌の上にとまり、すでに
熟したひとりの吊るされ人を激怒して解体していた、
それぞれが、汚れたくちばしを、道具のように、
その腐肉の血がしたたる隅々に打ち込みながら。

その両目は二つの穴だった、突き破られた腹から
重い腸がその人から太腿の上に流れ出ていた、
そして死刑執行鳥らは、ぞっとする楽しみに満腹だが、
くちばしを使って完全にその人を去勢してしまっていた。

その足の下には、ねたむ四つ足の一群が、
鼻づらを高くして、くるくる回りうろついていた。
一匹のひときわ大きい獣が、真ん中で動いていた、
補助者に囲まれた死刑執行人のように。

シテールの住人、これほど美しい空の申し子、
黙って君はこれらの侮辱を受けてきた、
ひどい崇拝の償いとして、
そして君に墓を禁じた罪の償いとして。

滑稽な吊るされ人、君の苦悩は私と同じだ!
私は感じた、揺れ動く君の手足を見て、
嘔吐のように、古い苦悩からの胆汁の長い河が
私の歯の方へ込み上げてくるのを。

とてもいとしい思い出を持つ哀れな奴、君の前で
私は感じた、かつて私の肉をあれほど噛みつぶした
苦しめる烏と黒い豹の
すべてのくちばしとすべての顎を。

━━ 空は魅力的だった、海は平穏だった。
私にとって、それ以降すべては黒く血なまぐさかった、
アー!そして私は、厚い屍衣を着ているように、
心をその寓意のなかに埋葬した。

君の島で、オーウェヌス!私は象徴的な垂直の絞首台しか
発見しなかった、そこで私の心象はぶら下がっていた . . .
━━ アー!神様!私に与えてください、
私の心と私の体を嫌悪なく見つめるという力と勇気を!



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115a 吸血鬼の変身 Les Métamorphoses du Vampire


     115a 吸血鬼の変身

女はその間、イチゴの口で、
燠火の上の蛇のように身をよじり、
コルセットの骨の上で両乳房をもみながら、
麝香が全くしみこんだ言葉を流れるままにしていた。
━━「私はね、濡れた唇をしていて、知っているの、
古い良心をベッドの奥になくす技法を。
私はどんな涙も私の勝ち誇る乳房の上で乾かすし、
老人を子供の笑いで笑わせる。
私が裸でヴェールもないのを見る人のために、
私は、月、太陽、空、星の代わりになる!
いとしい学者、私は快楽においてとても博学なので、
恐れられる私の両腕で男を私が窒息させるとき、
あるいは私が、内気で自由奔放、弱くて確固としているけど、
私の胸を噛むことにゆだねるとき、
動揺で気絶するマットレスの上で、
不能の天使たちは地獄に落ちるの、私のために!」

彼女が私の骨の髄まで吸いつくし、
それから物憂げに私が彼女に愛のキスを返そうと
彼女の方を向いたとき、なんと私が見たものは、
両脇がべたべたした革袋だけ、膿に満ちている!
私は両目を閉じた、恐怖の寒気のなかで、
そして私が生き生きした光に目を開けたとき、
私のそばで、血を蓄えていたように見えた
力強いマネキンに代わって、
骸骨の破片が雑然と震えていたのだ、
それらが自ずから発していたのは、風見鶏の叫び、
あるいは看板のか、鉄の細い棒の先にあり、
風が揺り動かしている、冬の夜々ずっと。



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